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Dystopia

意:ディストピア。桃源郷・理想郷を示すユートピアの対となる概念。主にSF作品において、今我々が生きる現実社会の持つ傾向を戯画化し極限化し、それが行き過ぎたものとしてのディストピアを描くことで現実社会批判が為されてきた。そこで描かれてきたディストピアが持つ特徴は、権威主義、全体主義、超監視社会、言論統制、思想統制、個人の生死や健康までに及ぶような過剰な管理社会などであった。2017年1月25日付けの『New York Times』紙記事によると、ドナルド・トランプ大統領が就任した1月20日以後、ディストピア小説の金字塔『1984年』の売上は95倍増加し、米国アマゾンにおけるベストセラーリストの首位になったという。2020年現在、世界各地で権威主義がますます高揚し、コロナ対策のもと、それぞれが健康であることが半ば義務となり、クラスター対策のために人々はトラッキングされつつある。一部の国や地域では、言論統制や検閲がますます強化されている。我が国でもスーパーシティ法案が可決されて監視社会化がますます進展しているように感じられる。ディストピアは、あくまでもフィクションとして現実社会に警鐘を鳴らす架空の社会であったが、その入り口はもうそこに迫っているのかもしれない。

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